「読書空間」(Booklet “Reading Space”)
20代〜60代、国籍職業色々の友人知人43名に「一日の中でいつ、どこで、誰と本を読むのが好きですか?」「もし本を読むための空間を創ることができるとしたらどんな空間にしたいですか?」というアンケートへの協力をお願いし、その回答とイメージ写真でまとめた小冊子。
小学1年からの旧友がBook Designを学んでいたのでデザインと編集を引き受けてくれ、
A5サイズ、約80ページの冊子が完成。
その後に行った「読書空間」というタイトルの個展で来訪者に閲覧してもらった。
Planning:AYA(2005)
Design+Edit: Kyoko Tachibana
以下、この冊子のあとがき(長文です)
私は「本の虫」というほど沢山の本を読むわけではありません。が、読書が大好きでいつも1冊の本をじっくりと時間をかけて読みたいと思っています。でも、読書をしている最中なんだか落ち着かず集中できない時があります。どんなにその本が面白くてもダメなのです。どうしてだろうとずっと考えていました。
そしてある時、読書をする環境や空間が自分の好みに合っていない時に読書も楽しめていないことに気がつきました。具体的には人が大勢いるところや心地の良い姿勢が保てない時、明るすぎる照明や狭い空間が良くないようです。
それ以来、読む本の内容に合わせて静かな屋外で読んでみたり、BGMをかけてみたり、照明をおとしてみたり…と空間を演出することを楽しんでいます。そうすると読書に集中できると共に、心からリラックスして充実した贅沢な時間が過ごせるのです。
デンマークでの生活は「読書空間」を考えるにあたって大きな影響を与えてくれました。(私見ですが)本を読む人や関心のある人は日本の方が多い気がしますし、日本の方が本を身近に置きやすいと感じます。というのも、デンマークでは本は高価なものでなかなか気軽に買えるものではなかったからです。
その代わり充実しているのが図書館です。図書館は本当に素晴らしい所が多く、立地や書籍数はもちろんのこと、空間の作り方、本の貸借のシステムや子供の為の工夫、そして地域とのつながり等、どれをとっても日本の図書館の数段上をいっていました。
また、人々も気軽に図書館に足を運び、借りた本は仕事や学校の後や休日のゆったりとした時間を過ごすために活用されていました。本を「読まされている」とか「読まなくてはいけない」ではなく、リラックスや家族のコミュニケーションのためのツールのひとつとして使い、読書を生活の一部として楽しんでいる人にたくさん出会うことができました。
読書空間を考えるにあたって、まず、他の人はどのように本を読んでいるのだろうという興味がわき、周りの友人や知人に協力してもらいました。皆さん密かに色々なこだわりがあってとても面白い答えが返ってきました。普段のキャラクターからは想像できないような意外な答えもありました。それをまとめたものが今回のこの本です。
アンケートを通して、皆さんの答えを私なりにまとめてみるとお気に入りの読書空間は大きく3つに分けられました。
1.ゆったりとした時間を過ごす家の中(例えば平日の夜や休日ののんびり過ごす時や寝る時等)
2.自然の中(木々に囲まれて、草原の中で)
3.バスや電車の中での移動時間
1と2についてはリラックスするための時間と密接につながっていると感じます。3は「暇つぶし」とか「短い時間も無駄にしない」というある意味日本で多くみられる光景かもしれません。というのも、デンマークの列車やバスの中では読書をしている人はあまり見かけず、会話を楽しんだり窓の外の景色を眺めている人がほとんどでした。国によって読書の仕方も違うというのはとても興味深いです。
そして意外にも図書館を好む人が少ないことに驚きます。日本では図書館は勉強をする場所というイメージがあるようですし、本当に心地良く過ごせる図書館がまだ少ないのかもしれません。
これから創ってみたい読書空間については、落ち着ける心地良い場所、静かな場所が欲しいという人が多いですね。読書する姿勢や照明にも配慮して疲れない読書をしたいという意見もありましたし、読書の邪魔にならない程度の音楽や軽食が必要な人もいました。
「どんな本を読もうか」だけでなく「誰とどんなところで読もうか」ということも考えると、読書がもっと楽しくなり、より一層本の世界に浸れるはずです。音楽を聴いたり映画を観たりするのと同じような感覚で、家族や友達と読書空間を創り一緒に本を読んで読んだ後に語りあったりすると、本の世界を共有できたり、時には違った視点で捉えることができるはずです。
この本と今回の展覧会がみなさんの素敵な読書空間を創るきっかけになるといいなと願います。 2005年9月
小学1年からの旧友がBook Designを学んでいたのでデザインと編集を引き受けてくれ、
A5サイズ、約80ページの冊子が完成。
その後に行った「読書空間」というタイトルの個展で来訪者に閲覧してもらった。
Planning:AYA(2005)
Design+Edit: Kyoko Tachibana
以下、この冊子のあとがき(長文です)
私は「本の虫」というほど沢山の本を読むわけではありません。が、読書が大好きでいつも1冊の本をじっくりと時間をかけて読みたいと思っています。でも、読書をしている最中なんだか落ち着かず集中できない時があります。どんなにその本が面白くてもダメなのです。どうしてだろうとずっと考えていました。
そしてある時、読書をする環境や空間が自分の好みに合っていない時に読書も楽しめていないことに気がつきました。具体的には人が大勢いるところや心地の良い姿勢が保てない時、明るすぎる照明や狭い空間が良くないようです。
それ以来、読む本の内容に合わせて静かな屋外で読んでみたり、BGMをかけてみたり、照明をおとしてみたり…と空間を演出することを楽しんでいます。そうすると読書に集中できると共に、心からリラックスして充実した贅沢な時間が過ごせるのです。
デンマークでの生活は「読書空間」を考えるにあたって大きな影響を与えてくれました。(私見ですが)本を読む人や関心のある人は日本の方が多い気がしますし、日本の方が本を身近に置きやすいと感じます。というのも、デンマークでは本は高価なものでなかなか気軽に買えるものではなかったからです。
その代わり充実しているのが図書館です。図書館は本当に素晴らしい所が多く、立地や書籍数はもちろんのこと、空間の作り方、本の貸借のシステムや子供の為の工夫、そして地域とのつながり等、どれをとっても日本の図書館の数段上をいっていました。
また、人々も気軽に図書館に足を運び、借りた本は仕事や学校の後や休日のゆったりとした時間を過ごすために活用されていました。本を「読まされている」とか「読まなくてはいけない」ではなく、リラックスや家族のコミュニケーションのためのツールのひとつとして使い、読書を生活の一部として楽しんでいる人にたくさん出会うことができました。
読書空間を考えるにあたって、まず、他の人はどのように本を読んでいるのだろうという興味がわき、周りの友人や知人に協力してもらいました。皆さん密かに色々なこだわりがあってとても面白い答えが返ってきました。普段のキャラクターからは想像できないような意外な答えもありました。それをまとめたものが今回のこの本です。
アンケートを通して、皆さんの答えを私なりにまとめてみるとお気に入りの読書空間は大きく3つに分けられました。
1.ゆったりとした時間を過ごす家の中(例えば平日の夜や休日ののんびり過ごす時や寝る時等)
2.自然の中(木々に囲まれて、草原の中で)
3.バスや電車の中での移動時間
1と2についてはリラックスするための時間と密接につながっていると感じます。3は「暇つぶし」とか「短い時間も無駄にしない」というある意味日本で多くみられる光景かもしれません。というのも、デンマークの列車やバスの中では読書をしている人はあまり見かけず、会話を楽しんだり窓の外の景色を眺めている人がほとんどでした。国によって読書の仕方も違うというのはとても興味深いです。
そして意外にも図書館を好む人が少ないことに驚きます。日本では図書館は勉強をする場所というイメージがあるようですし、本当に心地良く過ごせる図書館がまだ少ないのかもしれません。
これから創ってみたい読書空間については、落ち着ける心地良い場所、静かな場所が欲しいという人が多いですね。読書する姿勢や照明にも配慮して疲れない読書をしたいという意見もありましたし、読書の邪魔にならない程度の音楽や軽食が必要な人もいました。
「どんな本を読もうか」だけでなく「誰とどんなところで読もうか」ということも考えると、読書がもっと楽しくなり、より一層本の世界に浸れるはずです。音楽を聴いたり映画を観たりするのと同じような感覚で、家族や友達と読書空間を創り一緒に本を読んで読んだ後に語りあったりすると、本の世界を共有できたり、時には違った視点で捉えることができるはずです。
この本と今回の展覧会がみなさんの素敵な読書空間を創るきっかけになるといいなと願います。 2005年9月